(PHP 8)
match
式は、値の一致をチェックした結果に基づいて評価結果を分岐します。
switch
文と似ていますが、
match
式は複数の候補と比較される制約式を持ちます。
switch
文とは異なり、
三項演算子のように値を評価します。
switch
文とは異なり、
弱い比較(==
)ではなく、
型と値の一致チェック(===
) に基づいて行われます。
match 式は PHP 8.0.0 以降で利用可能です。
例1 match
式の構造
<?php
$return_value = match (制約式) {
単一の条件式 => 返却式,
条件式1, 条件式2 => 返却式,
};
?>
例2 基本式な match
式の使い方
<?php
$food = 'cake';
$return_value = match ($food) {
'apple' => 'This food is an apple',
'bar' => 'This food is a bar',
'cake' => 'This food is a cake',
};
var_dump($return_value);
?>
上の例の出力は以下となります。
string(19) "This food is a cake"
注意:
match
式の結果は、必ずしも使う必要はありません。
注意:
match
式は、必ずセミコロン;
で終わらなければなりません。
match
式は、
switch
文と似ていますが、いくつかの違いがあります:
match
式の比較は、
switch 文が行う弱い比較ではなく、
厳密に値を比較(===
) します。
match
式は値を返します。
match
式の分岐は、
switch
文のように後の分岐に抜けたりはしません。
match
式は、全ての場合を網羅していなければいけません。
switch
文のように、
match
式はマッチさせる分岐をひとつひとつ実行します。
はじめは、コードは何も実行されません。
以前のすべての条件式が、制約式とマッチしなかった場合に条件式が実行されます。
条件式に一致する式が評価された場合に、返却式が評価されます。
たとえば、以下のようになります:
<?php
$result = match ($x) {
foo() => ...,
$this->bar() => ..., // foo() === $x であれば $this->bar() は呼び出されません。
$this->baz => beep(), // $x === $this->baz でなければ beep() は呼び出されません。
// などなど
};
?>
match
式の分岐は、複数の式をカンマ区切りで含めても構いません。
これは論理ORであり、複数の分岐の右辺を同じにする場合の短縮記法です。
<?php
$result = match ($x) {
// この分岐は:
$a, $b, $c => 5,
// 以下の3つの分岐と等しい:
$a => 5,
$b => 5,
$c => 5,
};
?>
default
パターンという特別な場合があります。
このパターンは前の分岐にマッチしなかったあらゆる場合にマッチします。
たとえば、以下のようになります:
<?php
$expressionResult = match ($condition) {
1, 2 => foo(),
3, 4 => bar(),
default => baz(),
};
?>
注意: 複数の
default
パターンがあった場合、E_FATAL_ERROR
が発生します。
match
式は、全ての場合を網羅していなければいけません。
制約式がどの分岐でも処理できなかった場合、
UnhandledMatchError がスローされます。
例3 処理されない match 式の例
<?php
$condition = 5;
try {
match ($condition) {
1, 2 => foo(),
3, 4 => bar(),
};
} catch (\UnhandledMatchError $e) {
var_dump($e);
}
?>
上の例の出力は以下となります。
object(UnhandledMatchError)#1 (7) { ["message":protected]=> string(33) "Unhandled match value of type int" ["string":"Error":private]=> string(0) "" ["code":protected]=> int(0) ["file":protected]=> string(9) "/in/ICgGK" ["line":protected]=> int(6) ["trace":"Error":private]=> array(0) { } ["previous":"Error":private]=> NULL }
制約式に true
を指定することで、
厳密な一致チェックを行わずに match
式を使うことができます。
例4 整数の範囲に応じてmatch式を分岐させる一般的な使い方
<?php
$age = 23;
$result = match (true) {
$age >= 65 => 'senior',
$age >= 25 => 'adult',
$age >= 18 => 'young adult',
default => 'kid',
};
var_dump($result);
?>
上の例の出力は以下となります。
string(11) "young adult"
例5 文字列の内容に応じてmatch式を分岐させる一般的な使い方
<?php
$text = 'Bienvenue chez nous';
$result = match (true) {
str_contains($text, 'Welcome') || str_contains($text, 'Hello') => 'en',
str_contains($text, 'Bienvenue') || str_contains($text, 'Bonjour') => 'fr',
// ...
};
var_dump($result);
?>
上の例の出力は以下となります。
string(2) "fr"