アロー関数は 無名関数 を簡潔に書ける文法として PHP 7.4 で追加されました。
無名関数とアロー関数は共に Closure クラスを使って実装されています。
アロー関数は
fn (argument_list) => expr
という形で記述します。
アロー関数は 無名関数 と同じ機能をサポートしていますが、 親のスコープで使える変数が常に自動で使える点だけが異なります。
式の中で使える変数が親のスコープで定義されている場合、 暗黙のうちに参照ではなく値がキャプチャされます。 次の例では、$fn1 と $fn2 は同じ振る舞いをします。
例1 アロー関数は参照ではなく値を自動でキャプチャする
<?php
$y = 1;
$fn1 = fn($x) => $x + $y;
// $y を値渡しするのと同じ
$fn2 = function ($x) use ($y) {
return $x + $y;
};
var_export($fn1(3));
?>
上の例の出力は以下となります。
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この仕組みは、アロー関数をネストした場合でも同じ動きをします:
例2 アロー関数は、ネストされた場合でも変数を値でキャプチャする
<?php
$z = 1;
$fn = fn($x) => fn($y) => $x * $y + $z;
// 51 を出力
var_export($fn(5)(10));
?>
無名関数と同じように、 アロー関数の文法は、引数や戻り値、デフォルト値、可変長引数、 リファレンス渡しやリファレンス返しを含む、任意の関数シグネチャを扱えます。 次に示す例は、全て正しいアロー関数の例です:
例3 アロー関数の例
<?php
fn(array $x) => $x;
static fn(): int => $x;
fn($x = 42) => $x;
fn(&$x) => $x;
fn&($x) => $x;
fn($x, ...$rest) => $rest;
?>
アロー関数は変数を値でバインドします。
これは変数 $x をアロー関数の内部で使うたびに
use($x)
を実行することと大体同じです。
値でバインドするということは、アロー関数の外のスコープの値を変更することが不可能だということです。
参照でバインドしたい場合は、無名関数 が使えます。
例4 外部のスコープの値はアロー関数では変更できない
<?php
$x = 1;
$fn = fn() => $x++; // 意味がない
$fn();
var_export($x); // 1 を出力
?>
バージョン | 説明 |
---|---|
7.4.0 | アロー関数が利用可能になりました。 |
注意: アロー関数の内部から func_num_args()、 func_get_arg() および func_get_args() を使用することができます。