機密をもつシステムの管理者は、このシェルをインストールすべきである。 アクセスが制限されるべきすべてのユーザに対し、 そのパスワードエントリを編集し、シェルが rssh になるようにする。 例えば以下のようにする。
もし -v オプション付きで起動されたら、 rssh はバージョン番号を表示して終了する。 rssh へのその他の引数はリモートの ssh(1) クライアントによって指定されたものが渡される。 一般のユーザはこのことをほとんど意識する必要はない。 制御を scp(1) または sftp(1) に渡すために、 rssh に渡される引数は、リモート側のシェルが受け取ったものを(そのまま) 使わなければならない。 もし rssh が適合しない引数を受け取った場合には、エラーメッセージを出して終了する。 ユーザが実行しようとしたプログラムが許可されなかった場合は エラーメッセージを出力して終了する。 また、(コマンド置換のような)シェルコマンドを実行しようとした場合も エラーメッセージを出力して終了する。
rssh には設定ファイル rssh.conf(5) があり、 rssh の動きのいくつかを設定可能である。 詳細は man ページを参照のこと。
本当はそうではないにもかかわらず、 「安全でないコマンドラインオプションを拒否した」という理由で rssh の実行を拒否されるという問題に突き当たったら、コマンドラインを次のように 変えてみて欲しい。 すべての短いオプションを1文字のオプションフラグで指定する (例えば、-ep の代わりに -e -p)、 引数とそれぞれのオプションをスペースで区切る (例えば、-p123 の代わりに -p 123)。 ほとんど全ての場合で、これで問題は解決する。 お分かりのとおり完全な検索はしていないが、 一般的に有り得るような問題は見つかっていない。
別の解決策は、rcp, rdist, rsync に対する完全なコマンドライン解析器を 実装しておくことがだが、それはこのプロジェクトの目的でない。 実用上は、既にある解析器で十分である」 しかし、もしそうでない場合を見つけたのなら、詳細を rssh メーリングリストに投稿して欲しい。 rssh メーリングリストへの投稿に関する詳細は rssh ホームページから得ることができる。
そのような脆弱性から、システムを守ることができる。 3つの基本的な方法がある。
rssh は、ユーザーを chroot jail に入れる能力をシステム管理者に与える。 詳細は rssh.conf(5) の man ページと、ソースコードと共に配布されている CHROOT ファイルを参照のこと。 ユーザーが任意のコマンドを実行できないことを確かなものにしたいなら、 chroot jail を使用し、提供しようとしているサービスに必要なプログラム以外を そこに置かないように気をつけること。 そうすれば、標準的なコマンドの実行を防ぐことができる。
そして、システムの実行ファイルがあるファイルシステムと、 ユーザーのファイルを分けておき、 (もしオペレーティングシステムにその機能があれば) ユーザーのファイルのある ファイルシステムを noexec オプション付きでマウントする。 こうすれば、目的のマシンに(例えば scp を使って)アップロードされた プログラムが実行されるのを防ぐことができる。
最後に、chroot jail の中でユーザーがアクセスできてはならないものに ついては、標準的な Unix/POSIX ファイルパーミッションを使用すること。
しかしながら、起こりうるいくつかの問題が存在する。 これは完全に OpenSSH プロジェクトの sshd の動作の仕方に原因があり、 決して rssh の欠陥ではない。たとえば、存在するであろう一つの問題としては、 OpenSSH の少なくともいくつかのリリースの sshd(8) の man ページによれば、 $HOME/.ssh/rc ファイルに書かれているコマンドはユーザのデフォルトシェルの代わりに /bin/sh によって実行される。 著者がテストに使えるシステムではこの問題は発生しない。 すなわち、コマンドはユーザに設定されたシェル (rssh) によって実行され、それは実行を許可しない。 しかし、もしこれがあなたのシステムで有効になってしまっていれば、 悪意のあるユーザは /bin/sh に実行されるであろう $HOME/.ssh/rc ファイルをアップロードして、 rssh を無視することができるだろう。
実際のところ、もしこの脆弱性問題が存在する(OpenSSH の)リリースが あるとすれば、それは古く、旧式のバージョンである。 最近のバージョンのOpenSSHを動かしている限りは、 私が言える範囲では問題ないはずだ。
もし使っている sshd がこの攻撃に対して脆弱で ある ならば、かなり制限がかかるものの、この問題に対する回避方法がある。 ユーザのホームディレクトリは絶対にそのユーザが書き込めては*いけない*。 もし書き込めてしまえば、ユーザは sftp を使って(.ssh)ディレクトリの 名前を変えるか消すかして、あたらしい同名のディレクトリを作り、好きな 環境ファイル(訳注: 上記 $HOME/.ssh/rc ファイルのこと)をそこに書き込める。 ファイルのアップロードを開放するためには、ユーザが書き込めるディレクトリが 作成されていなければならず、ホームディレクトリのそれ以外の場所には 書き込めないことをユーザに承知させなければならない。
二つ目の問題は、ユーザが環境に変数を設定できることを可能にする $HOME/.ssh/environment ファイルを、sshd がユーザの認証後に読み込むことである。 環境変数 LD_LIBRARY_PATH または LD_PRELOAD を上手に操作して、任意の共有ライブラリを rssh バイナリにリンク させることによって rssh を完全に欺くことを許してしまう。 この問題を防ぐために、 rssh は(バージョン 0.9.3 の時点では)デフォルトでは静的にコンパイルされる。 前述の制限付きの回避方法は、この種の攻撃も防ぐことができる。 OpenSSH 3.5 の時点では、 sshd は PermitUserEnvironment オプションをサポートしており、これはデフォルトで "no" に設定されている。 このオプションは、 rssh のような制限つきシェルが静的リンクの必要なしに適切に機能することを 可能にする。 rssh バージョン 1.0.1 の時点で、configure スクリプトは OpenSSH 3.5 が 存在するかを検出し、静的コンパイルを無効にする。
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