SPU_RUN

Section: Linux Programmer's Manual (2)
Updated: 2020-11-01
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名前

spu_run - SPU コンテキストを実行する  

書式

#include <sys/spu.h>

int spu_run(int fd, unsigned int *npc, unsigned int *event);

: このシステムコールには glibc のラッパー関数は存在しない。「注意」の節を参照。  

説明

spu_run() システムコールは、Cell Broadband Engine アーキテクチャーを実装した PowerPC マシンで Synergistic Processor Units (SPU) にアクセスするために 使用される。 fd 引数は、 spu_create(2) が返すファイルディスクリプターで、 特定の SPU コンテキストを参照する。 そのコンテキストが物理 SPU に割り当てられると、 npc で渡された命令ポインター (instruction pointer) から実行が開始される。

SPU コードの実行は同期的 (synchronously) に行われる、つまり SPU が実行中は spu_run() は停止 (block) する。 SPU コードの実行をメイン CPU や他の SPU と並行して行う必要がある場合は、 最初に、その SPU コードを実行する新しいスレッドを、(例えば pthread_create(3) などを使って) 生成しなければならない。

spu_run() が返るときには、SPU のプログラムカウンターの現在値が npc に書き込まれる。 これにより、連続する spu_run() の呼び出しで同じ npc ポインターを使うことができる。

event 引数には、拡張ステータスコード用のバッファーを指定する。 SPU_CREATE_EVENTS_ENABLED フラグ付きで SPU コンテキストが作成されると、 spu_run() が返る前に Linux カーネルによりこのバッファーに 拡張ステータスコードが格納される。

ステータスコードには以下の定数が一つ以上入る。

SPE_EVENT_DMA_ALIGNMENT
DMA (direct memory access) のアライメントエラーが発生した。
SPE_EVENT_INVALID_DMA
無効な MFC (Memory Flow Controller) DMA コマンドを行おうとした。
SPE_EVENT_SPE_DATA_STORAGE
DMA ストレージエラーが発生した。
SPE_EVENT_SPE_ERROR
不正な命令が実行された。

NULL は event 引数として有効な値である。 この場合、イベントは呼び出し元のプロセスに報告されない。  

返り値

成功すると、 spu_run() は spu_status レジスターの値を返す。 エラーの場合、-1 を返し、 errno を下記のエラーコードのいずれかに設定する。

spu_status レジスターの値は、ステータスコードと SPU の stop-and-signal 命令が返す 14 ビットのコードの ビットマスクで構成される。 後者の 14 ビットのコードはオプションである。 ステータスコードのビットマスクは下記の通りである。

0x02
SPU が stop-and-signal 命令で停止した。
0x04
SPU が halt (停止) 命令で止まった。
0x08
SPU はチャンネルのウェイト中である。
0x10
SPU はシングルステップモードであった。
0x20
SPU が不正な命令を実行しようとした。
0x40
SPU が不正なチャンネルにアクセスしようとした。
0x3fff0000
この値のマスクを適用して得られたビット値には、 stop-and-signal 命令から返されたコードが入っている。 これらのビットは 0x02 ビットがセットされている場合にのみ有効である。

spu_run() がエラーを返さなかった場合、下位 8 ビットのうち 1 つ以上は 常にセットされる。  

エラー

EBADF
fd が有効なファイルディスクリプターでない。
EFAULT
npc が有効なポインターでない。または event が NULL 以外で、しかも無効なポインターである。
EINTR
spu_run() の実行中にシグナルが発生した。 signal(7) 参照。 必要であれば、 npc の値は新しいプログラムカウンターの値に更新される。
EINVAL
fdspu_create(2) が返した有効なファイルディスクリプターでない。
ENOMEM
Memory Flow Controller (MFC) DMA により発生したページフォールトを 処理するのに必要なメモリーがなかった。
ENOSYS
機能が動作中のシステムで提供されていない。理由は、 ハードウェアで SPU が提供されていないか、 spufs モジュールがロードされていないか、のどちらかである。
 

バージョン

spu_run() システムコールはカーネル 2.6.16 で Linux に追加された。  

準拠

このシステムコールは Linux 固有であり、 PowerPC アーキテクチャーでのみ実装されている。 このシステムコールを使ったプログラムは移植性がない。  

注意

glibc はこのシステムコールに対するラッパー関数を提供していない。 syscall(2) を使うこと。ただし、 spu_run() は より抽象度の高い SPU へのインターフェースを実装するライブラリから 利用されることを意図したものであり、通常のアプリケーションから 使用は意図されていない。推奨のライブラリについては を参照のこと。  

以下は、簡単な 1 命令の SPU プログラムを spu_run() システムコールを使って実行させる例である。

#include <stdlib.h> #include <stdint.h> #include <unistd.h> #include <stdio.h> #include <sys/types.h> #include <fcntl.h>

#define handle_error(msg) \
    do { perror(msg); exit(EXIT_FAILURE); } while (0)

int main(void) {
    int context, fd, spu_status;
    uint32_t instruction, npc;


    context = spu_create("/spu/example-context", 0, 0755);
    if (context == -1)
        handle_error("spu_create");


    /* write a 'stop 0x1234' instruction to the SPU's
     * local store memory
     */
    instruction = 0x00001234;


    fd = open("/spu/example-context/mem", O_RDWR);
    if (fd == -1)
        handle_error("open");
    write(fd, &instruction, sizeof(instruction));


    /* set npc to the starting instruction address of the
     * SPU program. Since we wrote the instruction at the
     * start of the mem file, the entry point will be 0x0
     */
    npc = 0;


    spu_status = spu_run(context, &npc, NULL);
    if (spu_status == -1)
        handle_error("open");


    /* we should see a status code of 0x1234002:
     *   0x00000002 (spu was stopped due to stop-and-signal)
     * | 0x12340000 (the stop-and-signal code)
     */
    printf("SPU Status: %#08x\n", spu_status);


    exit(EXIT_SUCCESS); }  

関連項目

close(2), spu_create(2), capabilities(7), spufs(7)  

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

関連キーワード

SPU, spu, run, 実行, 命令, instruction, status, include, int, コード

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Time: 12:08:49 GMT, June 11, 2022