入出力プロジェクト: コマンドラインプログラムを構築する

この章は、ここまでに学んできた多くのスキルを思い出すきっかけであり、もういくつか標準ライブラリの機能も探究します。 ファイルやコマンドラインの入出力と相互作用するコマンドラインツールを構築し、 今やあなたの支配下にあるRustの概念の一部を練習していきます。

Rustの速度、安全性、単バイナリ出力、クロスプラットフォームサポートにより、コマンドラインツールを作るのにふさわしい言語なので、 このプロジェクトでは、独自の伝統的なコマンドラインツールのgrep(globally search a regular expression and print: 正規表現をグローバルで検索し表示する)を作成していきます。最も単純な使用法では、 grepは指定したファイルから指定した文字列を検索します。そうするには、 grepは引数としてファイル名と文字列を受け取ります。それからファイルを読み込んでそのファイル内で文字列引数を含む行を探し、 検索した行を出力するのです。

その過程で、多くのコマンドラインツールが使用している端末の機能を使用させる方法を示します。 環境変数の値を読み取ってユーザがこのツールの振る舞いを設定できるようにします。また、 標準出力(stdout)の代わりに、標準エラーに出力(stderr)するので、例えば、 ユーザはエラーメッセージは画面上で確認しつつ、成功した出力はファイルにリダイレクトできます。

Rustコミュニティのあるメンバであるアンドリュー・ガラント(Andrew Gallant)が既に全機能装備の非常に高速なgrepripgrepと呼ばれるものを作成しました。比較対象として、我々のgrepはとても単純ですが、 この章により、ripgrepのような現実世界のプロジェクトを理解するのに必要な背景知識の一部を身に付けられるでしょう。

このgrepプロジェクトは、ここまでに学んできた多くの概念を集結させます:

  • コードを体系化する(モジュール、第7章で学んだことを使用)
  • ベクタと文字列を使用する(コレクション、第8章)
  • エラーを処理する(第9章)
  • 適切な箇所でトレイトとライフタイムを使用する(第10章)
  • テストを記述する(第11章)

さらに、クロージャ、イテレータ、トレイトオブジェクトなど、第13章、17章で詳しく講義するものもちょっとだけ紹介します。

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