testing.txt For Vim バージョン 8.2. Last change: 2021 Aug 15
VIMリファレンスマニュアル by Bram Moolenaar
VimおよびVim scriptのテスト testing-support
式の評価は eval.txt で説明されている。このファイルでは、Vim scriptでのテスト
の記述について詳しく説明する。これは、Vim自体のテストとプラグインのテストに使
用できる。
1. Vimのテスト testing
2. Test関数 test-functions-details
3. Assert関数 assert-functions-details
==============================================================================
1. Vimのテスト testing
Vimはビルド後にテストできる。通常は "make test" を使用する。テストはディレクト
リ "src/testdir" にある。
時間の経過とともに追加されたテストには、2つのタイプがある:
test20.in 最も古い、tiny と small ビルド用のみ
test_something.vim 新形式のテスト
new-style-testing
新しいテストは新形式のテストとして追加する必要がある。このテストスクリプトは
test_<feature>.vim という命名になる (<feature> はテストする対象の機能に置き換
える)。これらは、テストコマンドと期待される結果を1か所に保持するために、
assert_equal() などの関数を使用する。
old-style-testing
+eval 機能なしでVimをテストするときのみこのテストを使う。
詳細は src/testdir/README.txt ファイルを確認のこと。
==============================================================================
2. Test関数 test-functions-details
test_alloc_fail({id}, {countdown}, {repeat}) test_alloc_fail()
この関数はテストのために使われる: {id} のメモリ割り当てが行わ
れた際に {countdown} はデクリメントされ、それが0になれば
{repeat} 回のメモリの割り当ての失敗を発生させる。{repeat} が1
未満の場合は、失敗を1回のみ発生させる。
method としても使用できる:
test_autochdir() test_autochdir()
Vimの起動が完了する前に 'autochdir' の効果を有効にするためのフ
ラグをセットする。
test_feedinput({string}) test_feedinput()
{string} の文字を、あたかもユーザーがタイプしたかのように処理
する。これは低レベル入力バッファを使用する。この関数は +unix
もしくは GUI で動作しているときに機能する。
method としても使用できる:
test_garbagecollect_now() test_garbagecollect_now()
garbagecollect() とほぼ同じであるが、この関数はガーベッジコレ
クトを直ちに実行する。この関数を実行する場合は、構造体が内部に
存在しないようにするために直接呼び出す必要がある。また、この関
数を呼び出す前に v:testing を設定する必要がある。
test_garbagecollect_soon() test_garbagecollect_soon()
あたかもメインループの中にいるように、ガーベッジコレクトを呼び
出すためのフラグを設定する。テストでのみ使用される。
test_getvalue({name}) test_getvalue()
内部変数の値を取得する。{name} のこれらの値がサポートされてい
る:
need_fileinfo
method としても使用できる:
test_gui_drop_files()
test_gui_drop_files({list}, {row}, {col}, {mods})
{list} の1つ以上のファイルをウィンドウの {row} 行 {col} 列にド
ロップする。この関数は drop_file 機能が存在するGUI版の Vim
でのみ動作する。
{mods} としてサポートされる値:
0x4 Shift
0x8 Alt
0x10 Ctrl
ファイルは引数リスト argument-list に追加され、{list} の最初
のファイルの編集がウィンドウで開始される。詳細は drag-n-drop
を参照。
test_gui_mouse_event()
test_gui_mouse_event({button}, {row}, {col}, {multiclick}, {modifiers})
マウスボタンのクリックイベントを注入する。この関数はGUIで実行
している時のみ動作する。
{button} としてサポートされる値:
0 右マウスボタン
1 中央マウスボタン
2 左マウスボタン
3 マウスボタンリリース
4 スクロールホイール下
5 スクロールホイール上
6 スクロールホイール左
7 スクロールホイール右
{row} と {col} はマウスクリックの位置を指定する。Vimウィンドウ
で最初の行は1で最後の行は 'lines' である。{col} の最大値は
'columns' である。
マルチクリックイベントを注入するには、{multiclick} に1を設定す
る。
{modifiers} としてサポートされる値:
4 shiftキーが押されている
8 altキーが押されている
16 ctrlキーが押されている
マウスイベントの注入後、処理のためにおそらく feedkeys() を呼
ぶ必要があるだろう。例:
test_ignore_error({expr}) test_ignore_error()
{expr} を含むすべてのエラーを無視する。代わりに通常メッセージ
が表示される。
これは、テストにおいて、try/catch を用いてエラーを捕捉できない
(以降のコードをスキップするので)場合のみに使うことを意図してい
る。
{expr} はパターンとしてではなく、文字として用いられる。
{expr} が文字列 "RESET" の場合、無視されるエラーのリストは空に
なる。
method としても使用できる:
test_null_blob() test_null_blob()
null の Blob を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_channel() test_null_channel()
null の Channel を返す。これはテストのみに使われる。
{+channel 機能つきでコンパイルされたときのみ有効}
test_null_dict() test_null_dict()
null の Dict を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_function() test_null_function()
null の Funcref を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_job() test_null_job()
null の Job を返す。これはテストのみに使われる。
{+job 機能つきでコンパイルされたときのみ有効}
test_null_list() test_null_list()
null の List を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_partial() test_null_partial()
null の Partial を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_string() test_null_string()
null の String を返す。これはテストのみに使われる。
test_option_not_set({name}) test_option_not_set()
オプション {name} が設定されたことを示すフラグをリセットする。
したがって、それはまだデフォルト値を持っているように見える。次
のように使う:
ないかのように振舞う。
テストにのみ使用する!
method としても使用できる:
test_override({name}, {val}) test_override()
テストを実行できるようにするため、Vimの内部処理の特定の部分を
置き換える。Vimをテストするためだけに使用すること!
置き換えは、{val} が非 0 のときに有効化され、{val} が 0 のとき
に取り除かれる。
現在、name に使える値は:
name {val} が非 0 のときの効果
redraw redrawing() 関数を無効化する
redraw_flag RedrawingDisabled フラグを無視する
char_avail char_avail() 関数を無効化する
starting "starting" 変数を初期化する、以下を参照
nfa_fail 古い正規表現エンジンに戻すために、NFA regexp エン
ジンを失敗させる
no_query_mouse "dec" 端末のマウス位置を問い合わせない
no_wait_return "no_wait_return" フラグを設定する。"ALL" では
復元されない
ui_delay ui_delay() で使用するミリ秒単位の時間; メッ
セージの最大3秒の待ち時間を上書きする。
term_props バージョン文字列が検出された場合、すべてのター
ミナルプロパティをリセットする。
uptime sysinfo.uptime を上書きする
ALL すべての置き換えをクリアする ({val} は使われない)
"starting" は、起動が完了したようにテストが振る舞うべきときに
使われる。テストはスクリプトを読み込むことによって開始されるの
で、"starting" 変数は非ゼロである。これは通常はいいこと (テス
トが早く実行される) だが、テストが適切に動作しないという点では
動作を変えてしまっている。
次のようにしたとき:
method としても使用できる:
test_refcount({expr}) test_refcount()
{expr} の参照カウントを返す。{expr} が参照カウントを持たない型
の場合は、-1 を返す。この関数はテスト用。
method としても使用できる:
test_scrollbar({which}, {value}, {dragging}) test_scrollbar()
スクロールバーを使ってそれを {value} の位置に移動させる。
{which} は次のようになる:
left カレントウィンドウの左スクロールバー
right カレントウィンドウの右スクロールバー
hor 水平スクロールバー
垂直スクロールバーの場合、{value} は1からバッファの行数までの
値を取りうる。水平スクロールバーの場合、'wrap' が設定されてい
ないと仮定すると、{value} は1から最大行の長さまでの値を取りう
る。
{dragging} がゼロ以外の場合は、スクロールバーをドラッグするの
と同じである。それ以外の場合は、スクロールバーをクリックするの
と同じである。
{which} スクロールバーが実際に存在し、GUIを使用している場合に
のみ動作する。
method としても使用できる:
test_setmouse({row}, {col}) test_setmouse()
次のマウス操作に使用するマウス位置を設定する。
{row} と {col} は 1ベースである。
例:
test_settime({expr}) test_settime()
Vim が内部的に用いる時間を設定する。現在は history のタイムス
タンプ、viminfo のタイムスタンプ、undo に使用されている。
1 を渡せば、Vim は、警告やエラーメッセージの後、スリープしなく
なる。
{expr} は、数値として評価されなければならない。0 を渡せば、Vim
の内部時間は通常動作に戻る。
method としても使用できる:
test_srand_seed([seed]) test_srand_seed()
[seed] が渡されたときは srand() で使われる種の値を設定する。
省略されたときはテスト用の種を削除する。
test_unknown() test_unknown()
unknown型の値を返す。これはテストのみに使われる。
test_void() test_void()
void型の値を返す。これはテストのみに使われる。
==============================================================================
3. Assert関数 assert-functions-details
assert_beeps({cmd}) assert_beeps()
{cmd} を実行し、それがビープもしくはビジュアルベルを発生させな
かった場合、v:errors にエラーメッセージを追加する。
assert_fails()、assert_nobeep()、assert-return も参照。
method としても使用できる:
assert_equal()
assert_equal({expected}, {actual} [, {msg}])
{expected}と{actual}が等しくない場合、v:errorsにエラーメッセ
ージを追加し、1 が返る。そうでなければ 0 が返る。
assert-return
暗黙的な変換は行われないため、文字列 "4" は数値 4 とは異なる。
同様に、数値 4 は浮動小数点数 4.0 と異なる。ここでは
'ignorecase' の値は使われず、大文字小文字は常に区別される。
{msg}が省略された場合、"Expected {expected} but got {actual}"
という形式のメッセージが生成される。
例:
test.vim line 12: Expected 'foo' but got 'bar'
method としても使用でき、ベースは第2引数として渡される:
assert_equalfile()
assert_equalfile({fname-one}, {fname-two} [, {msg}])
ファイル {fname-one} および {fname-two} がまったく同じテキスト
でない場合、v:errors にエラーメッセージが追加される。
assert-return も参照。
{fname-one} もしくは {fname-two} が存在しない場合、それに関連
したエラーとなる。
主に terminal-diff で役立つ。
method としても使用できる:
assert_exception({error} [, {msg}]) assert_exception()
v:exception に{error}が含まれていない時、v:errorsにエラーメッ
セージを追加する。assert-return も参照。
これは例外を投げるコマンドのテストを行う場合に使うことができ
る。コロンが続くエラー番号を使えば、翻訳の問題を回避できる:
assert_fails()
assert_fails({cmd} [, {error} [, {msg} [, {lnum} [, {context}]]]])
{cmd}を実行しエラーを生成しなかった場合か、エラーメッセージの
中に{error}が見つからない場合、v:errors にエラーメッセージを
追加する。assert-return も参照。
{error}が文字列である場合、最初に報告されたエラーの中から文字
通り見つからなければならない。例えば、"E123:" の場合、多くの場
合、これはコロンを含むエラーコードになる:
{error}が1つまたは2つの文字列をもつ List の場合、これらをパ
ターンとして利用する。最初のパターンは、最初に報告されたエラー
と照合される:
2番目のパターンが存在する場合、最後に報告されたエラーと照合さ
れる。
エラーが1つしかない場合は、両方のパターンが一致する必要がある。
これを使用して、エラーが1つしかないことをチェックできる。
最後のエラーのみにマッチさせるには、最初のエラーに空文字列を使
用する:
{msg} が空の場合は利用されない。引数 {lnum} を渡す時にデフォル
トメッセージを取得するにはこれを使うこと。
{lnum} が非負数で設定され、引数 {error} が設定されてマッチした
時、エラーが報告されるときの行番号と比較される。行番号は関数内
かスクリプト内での行番号になる。
{context} が存在すると、 パターンとして使われ {lnum} が位置する
コンテキスト (スクリプト名か関数名) に対してマッチする。
Note: ビープ音の発生はエラーとは見なされず、いくつかのコマンド
は失敗時にビープ音を鳴らすだけである。これらについては
assert_beeps() を使用すること。
method としても使用できる:
assert_false({actual} [, {msg}]) assert_false()
assert_equal()と同様に、{actual}がfalseでない場合、v:errors
にエラーメッセージを追加する。
assert-return も参照。
ゼロである時、その値はfalseである。{actual}が数値でない場合、
テストが失敗する。
{msg}が省略された場合、"Expected False but got {actual}" とい
う形式のメッセージが生成される。
method としても使用できる:
assert_inrange({lower}, {upper}, {actual} [, {msg}]) assert_inrange()
これは数値または Float の値をテストする。{actual}が{lower}よ
り小さいか{upper}より大きい場合、v:errorsにエラーメッセージ
が追加される。assert-return も参照。
{msg}を省略すると、"Expected range {lower} - {upper}, but
got {actual}" という形式のエラーが生成される。
assert_match()
assert_match({pattern}, {actual} [, {msg}])
{pattern}が{actual}と一致しない場合、v:errorsにエラーメッセー
ジが追加される。assert-return も参照。
=~と同じように{pattern}が使われる: マッチングは 'magic' や
'cpoptions' の実際の値に関係なく、'magic' が設定され、
'cpoptions' が空であるように常に行われる。
{actual}は文字列として使用され、自動変換が適用される。テキスト
の先頭と最後に一致させるためには、"^" と "$" を使用すること。
両方を使用してテキスト全体を一致させる。{訳注: 使わなければ、
部分一致で判定が行われる。}
{msg}を省略すると、"Pattern {pattern} does not match {actual}"
という形式のエラーが生成される。例:
test.vim line 12: Pattern '^f.*o$' does not match 'foobar'
method としても使用できる:
assert_nobeep({cmd}) assert_nobeep()
{cmd} を実行し、それがビープもしくはビジュアルベルを発生させた
場合、v:errors にエラーメッセージを追加する。
assert_beeps() も参照。
method としても使用できる:
assert_notequal()
assert_notequal({expected}, {actual} [, {msg}])
assert_equal() の反対: {expected}と{actual}が等しいときにエ
ラーメッセージを v:errors に追加する。assert-return も参
照。
method としても使用できる:
assert_notmatch()
assert_notmatch({pattern}, {actual} [, {msg}])
assert_match() の反対: {pattern}が{actual}にマッチするときに
v:errors にエラーメッセージを追加する。
assert-return も参照。
method としても使用できる:
assert_report({msg}) assert_report()
テストの失敗を文字列 {msg} を使って直接報告する。
常に 1 を返す。
method としても使用できる:
assert_true({actual} [, {msg}]) assert_true()
assert_equal()と同様に、{actual}がtrueでない場合、v:errors
にエラーメッセージを追加する。
assert-return も参照。
非ゼロである時、その値はTRUEである。{actual}が数値でない場合、
テストが失敗する。
{msg}が省略された場合、"Expected True but got {actual}" とい
う形式のメッセージが生成される。
method としても使用できる:
vim:tw=78:ts=8:noet:ft=help:norl:
VIMリファレンスマニュアル by Bram Moolenaar
VimおよびVim scriptのテスト testing-support
式の評価は eval.txt で説明されている。このファイルでは、Vim scriptでのテスト
の記述について詳しく説明する。これは、Vim自体のテストとプラグインのテストに使
用できる。
1. Vimのテスト testing
2. Test関数 test-functions-details
3. Assert関数 assert-functions-details
==============================================================================
1. Vimのテスト testing
Vimはビルド後にテストできる。通常は "make test" を使用する。テストはディレクト
リ "src/testdir" にある。
時間の経過とともに追加されたテストには、2つのタイプがある:
test20.in 最も古い、tiny と small ビルド用のみ
test_something.vim 新形式のテスト
new-style-testing
新しいテストは新形式のテストとして追加する必要がある。このテストスクリプトは
test_<feature>.vim という命名になる (<feature> はテストする対象の機能に置き換
える)。これらは、テストコマンドと期待される結果を1か所に保持するために、
assert_equal() などの関数を使用する。
old-style-testing
+eval 機能なしでVimをテストするときのみこのテストを使う。
詳細は src/testdir/README.txt ファイルを確認のこと。
==============================================================================
2. Test関数 test-functions-details
test_alloc_fail({id}, {countdown}, {repeat}) test_alloc_fail()
この関数はテストのために使われる: {id} のメモリ割り当てが行わ
れた際に {countdown} はデクリメントされ、それが0になれば
{repeat} 回のメモリの割り当ての失敗を発生させる。{repeat} が1
未満の場合は、失敗を1回のみ発生させる。
method としても使用できる:
GetAllocId()->test_alloc_fail()
test_autochdir() test_autochdir()
Vimの起動が完了する前に 'autochdir' の効果を有効にするためのフ
ラグをセットする。
test_feedinput({string}) test_feedinput()
{string} の文字を、あたかもユーザーがタイプしたかのように処理
する。これは低レベル入力バッファを使用する。この関数は +unix
もしくは GUI で動作しているときに機能する。
method としても使用できる:
GetText()->test_feedinput()
test_garbagecollect_now() test_garbagecollect_now()
garbagecollect() とほぼ同じであるが、この関数はガーベッジコレ
クトを直ちに実行する。この関数を実行する場合は、構造体が内部に
存在しないようにするために直接呼び出す必要がある。また、この関
数を呼び出す前に v:testing を設定する必要がある。
test_garbagecollect_soon() test_garbagecollect_soon()
あたかもメインループの中にいるように、ガーベッジコレクトを呼び
出すためのフラグを設定する。テストでのみ使用される。
test_getvalue({name}) test_getvalue()
内部変数の値を取得する。{name} のこれらの値がサポートされてい
る:
need_fileinfo
method としても使用できる:
GetName()->test_getvalue()
test_gui_drop_files()
test_gui_drop_files({list}, {row}, {col}, {mods})
{list} の1つ以上のファイルをウィンドウの {row} 行 {col} 列にド
ロップする。この関数は drop_file 機能が存在するGUI版の Vim
でのみ動作する。
{mods} としてサポートされる値:
0x4 Shift
0x8 Alt
0x10 Ctrl
ファイルは引数リスト argument-list に追加され、{list} の最初
のファイルの編集がウィンドウで開始される。詳細は drag-n-drop
を参照。
test_gui_mouse_event()
test_gui_mouse_event({button}, {row}, {col}, {multiclick}, {modifiers})
マウスボタンのクリックイベントを注入する。この関数はGUIで実行
している時のみ動作する。
{button} としてサポートされる値:
0 右マウスボタン
1 中央マウスボタン
2 左マウスボタン
3 マウスボタンリリース
4 スクロールホイール下
5 スクロールホイール上
6 スクロールホイール左
7 スクロールホイール右
{row} と {col} はマウスクリックの位置を指定する。Vimウィンドウ
で最初の行は1で最後の行は 'lines' である。{col} の最大値は
'columns' である。
マルチクリックイベントを注入するには、{multiclick} に1を設定す
る。
{modifiers} としてサポートされる値:
4 shiftキーが押されている
8 altキーが押されている
16 ctrlキーが押されている
マウスイベントの注入後、処理のためにおそらく feedkeys() を呼
ぶ必要があるだろう。例:
call feedkeys("y", 'Lx!')
test_ignore_error({expr}) test_ignore_error()
{expr} を含むすべてのエラーを無視する。代わりに通常メッセージ
が表示される。
これは、テストにおいて、try/catch を用いてエラーを捕捉できない
(以降のコードをスキップするので)場合のみに使うことを意図してい
る。
{expr} はパターンとしてではなく、文字として用いられる。
{expr} が文字列 "RESET" の場合、無視されるエラーのリストは空に
なる。
method としても使用できる:
GetErrorText()->test_ignore_error()
test_null_blob() test_null_blob()
null の Blob を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_channel() test_null_channel()
null の Channel を返す。これはテストのみに使われる。
{+channel 機能つきでコンパイルされたときのみ有効}
test_null_dict() test_null_dict()
null の Dict を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_function() test_null_function()
null の Funcref を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_job() test_null_job()
null の Job を返す。これはテストのみに使われる。
{+job 機能つきでコンパイルされたときのみ有効}
test_null_list() test_null_list()
null の List を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_partial() test_null_partial()
null の Partial を返す。これはテストのみに使われる。
test_null_string() test_null_string()
null の String を返す。これはテストのみに使われる。
test_option_not_set({name}) test_option_not_set()
オプション {name} が設定されたことを示すフラグをリセットする。
したがって、それはまだデフォルト値を持っているように見える。次
のように使う:
set ambiwidth=double
call test_option_not_set('ambiwidth')
値が "double" であっても、'ambiwidth' オプションは変更されていcall test_option_not_set('ambiwidth')
ないかのように振舞う。
テストにのみ使用する!
method としても使用できる:
GetOptionName()->test_option_not_set()
test_override({name}, {val}) test_override()
テストを実行できるようにするため、Vimの内部処理の特定の部分を
置き換える。Vimをテストするためだけに使用すること!
置き換えは、{val} が非 0 のときに有効化され、{val} が 0 のとき
に取り除かれる。
現在、name に使える値は:
name {val} が非 0 のときの効果
redraw redrawing() 関数を無効化する
redraw_flag RedrawingDisabled フラグを無視する
char_avail char_avail() 関数を無効化する
starting "starting" 変数を初期化する、以下を参照
nfa_fail 古い正規表現エンジンに戻すために、NFA regexp エン
ジンを失敗させる
no_query_mouse "dec" 端末のマウス位置を問い合わせない
no_wait_return "no_wait_return" フラグを設定する。"ALL" では
復元されない
ui_delay ui_delay() で使用するミリ秒単位の時間; メッ
セージの最大3秒の待ち時間を上書きする。
term_props バージョン文字列が検出された場合、すべてのター
ミナルプロパティをリセットする。
uptime sysinfo.uptime を上書きする
ALL すべての置き換えをクリアする ({val} は使われない)
"starting" は、起動が完了したようにテストが振る舞うべきときに
使われる。テストはスクリプトを読み込むことによって開始されるの
で、"starting" 変数は非ゼロである。これは通常はいいこと (テス
トが早く実行される) だが、テストが適切に動作しないという点では
動作を変えてしまっている。
次のようにしたとき:
call test_override('starting', 1)
"starting" の値が保存される。次のようにして復元される: call test_override('starting', 0)
method としても使用できる:
GetOverrideVal()-> test_override('starting')
test_refcount({expr}) test_refcount()
{expr} の参照カウントを返す。{expr} が参照カウントを持たない型
の場合は、-1 を返す。この関数はテスト用。
method としても使用できる:
GetVarname()->test_refcount()
test_scrollbar({which}, {value}, {dragging}) test_scrollbar()
スクロールバーを使ってそれを {value} の位置に移動させる。
{which} は次のようになる:
left カレントウィンドウの左スクロールバー
right カレントウィンドウの右スクロールバー
hor 水平スクロールバー
垂直スクロールバーの場合、{value} は1からバッファの行数までの
値を取りうる。水平スクロールバーの場合、'wrap' が設定されてい
ないと仮定すると、{value} は1から最大行の長さまでの値を取りう
る。
{dragging} がゼロ以外の場合は、スクロールバーをドラッグするの
と同じである。それ以外の場合は、スクロールバーをクリックするの
と同じである。
{which} スクロールバーが実際に存在し、GUIを使用している場合に
のみ動作する。
method としても使用できる:
GetValue()->test_scrollbar('right', 0)
test_setmouse({row}, {col}) test_setmouse()
次のマウス操作に使用するマウス位置を設定する。
{row} と {col} は 1ベースである。
例:
call test_setmouse(4, 20)
call feedkeys("\<LeftMouse>", "xt")
call feedkeys("\<LeftMouse>", "xt")
test_settime({expr}) test_settime()
Vim が内部的に用いる時間を設定する。現在は history のタイムス
タンプ、viminfo のタイムスタンプ、undo に使用されている。
1 を渡せば、Vim は、警告やエラーメッセージの後、スリープしなく
なる。
{expr} は、数値として評価されなければならない。0 を渡せば、Vim
の内部時間は通常動作に戻る。
method としても使用できる:
GetTime()->test_settime()
test_srand_seed([seed]) test_srand_seed()
[seed] が渡されたときは srand() で使われる種の値を設定する。
省略されたときはテスト用の種を削除する。
test_unknown() test_unknown()
unknown型の値を返す。これはテストのみに使われる。
test_void() test_void()
void型の値を返す。これはテストのみに使われる。
==============================================================================
3. Assert関数 assert-functions-details
assert_beeps({cmd}) assert_beeps()
{cmd} を実行し、それがビープもしくはビジュアルベルを発生させな
かった場合、v:errors にエラーメッセージを追加する。
assert_fails()、assert_nobeep()、assert-return も参照。
method としても使用できる:
GetCmd()->assert_beeps()
assert_equal()
assert_equal({expected}, {actual} [, {msg}])
{expected}と{actual}が等しくない場合、v:errorsにエラーメッセ
ージを追加し、1 が返る。そうでなければ 0 が返る。
assert-return
暗黙的な変換は行われないため、文字列 "4" は数値 4 とは異なる。
同様に、数値 4 は浮動小数点数 4.0 と異なる。ここでは
'ignorecase' の値は使われず、大文字小文字は常に区別される。
{msg}が省略された場合、"Expected {expected} but got {actual}"
という形式のメッセージが生成される。
例:
assert_equal('foo', 'bar')
以下の結果がv:errorsに追加される:test.vim line 12: Expected 'foo' but got 'bar'
method としても使用でき、ベースは第2引数として渡される:
mylist->assert_equal([1, 2, 3])
assert_equalfile()
assert_equalfile({fname-one}, {fname-two} [, {msg}])
ファイル {fname-one} および {fname-two} がまったく同じテキスト
でない場合、v:errors にエラーメッセージが追加される。
assert-return も参照。
{fname-one} もしくは {fname-two} が存在しない場合、それに関連
したエラーとなる。
主に terminal-diff で役立つ。
method としても使用できる:
GetLog()->assert_equalfile('expected.log')
assert_exception({error} [, {msg}]) assert_exception()
v:exception に{error}が含まれていない時、v:errorsにエラーメッ
セージを追加する。assert-return も参照。
これは例外を投げるコマンドのテストを行う場合に使うことができ
る。コロンが続くエラー番号を使えば、翻訳の問題を回避できる:
try
失敗するコマンド
call assert_false(1, 'command should have failed')
catch
call assert_exception('E492:')
endtry
失敗するコマンド
call assert_false(1, 'command should have failed')
catch
call assert_exception('E492:')
endtry
assert_fails()
assert_fails({cmd} [, {error} [, {msg} [, {lnum} [, {context}]]]])
{cmd}を実行しエラーを生成しなかった場合か、エラーメッセージの
中に{error}が見つからない場合、v:errors にエラーメッセージを
追加する。assert-return も参照。
{error}が文字列である場合、最初に報告されたエラーの中から文字
通り見つからなければならない。例えば、"E123:" の場合、多くの場
合、これはコロンを含むエラーコードになる:
assert_fails('bad cmd', 'E987:')
{error}が1つまたは2つの文字列をもつ List の場合、これらをパ
ターンとして利用する。最初のパターンは、最初に報告されたエラー
と照合される:
assert_fails('cmd', ['E987:.*expected bool'])
2番目のパターンが存在する場合、最後に報告されたエラーと照合さ
れる。
エラーが1つしかない場合は、両方のパターンが一致する必要がある。
これを使用して、エラーが1つしかないことをチェックできる。
最後のエラーのみにマッチさせるには、最初のエラーに空文字列を使
用する:
assert_fails('cmd', ['', 'E987:'])
{msg} が空の場合は利用されない。引数 {lnum} を渡す時にデフォル
トメッセージを取得するにはこれを使うこと。
{lnum} が非負数で設定され、引数 {error} が設定されてマッチした
時、エラーが報告されるときの行番号と比較される。行番号は関数内
かスクリプト内での行番号になる。
{context} が存在すると、 パターンとして使われ {lnum} が位置する
コンテキスト (スクリプト名か関数名) に対してマッチする。
Note: ビープ音の発生はエラーとは見なされず、いくつかのコマンド
は失敗時にビープ音を鳴らすだけである。これらについては
assert_beeps() を使用すること。
method としても使用できる:
GetCmd()->assert_fails('E99:')
assert_false({actual} [, {msg}]) assert_false()
assert_equal()と同様に、{actual}がfalseでない場合、v:errors
にエラーメッセージを追加する。
assert-return も参照。
ゼロである時、その値はfalseである。{actual}が数値でない場合、
テストが失敗する。
{msg}が省略された場合、"Expected False but got {actual}" とい
う形式のメッセージが生成される。
method としても使用できる:
GetResult()->assert_false()
assert_inrange({lower}, {upper}, {actual} [, {msg}]) assert_inrange()
これは数値または Float の値をテストする。{actual}が{lower}よ
り小さいか{upper}より大きい場合、v:errorsにエラーメッセージ
が追加される。assert-return も参照。
{msg}を省略すると、"Expected range {lower} - {upper}, but
got {actual}" という形式のエラーが生成される。
assert_match()
assert_match({pattern}, {actual} [, {msg}])
{pattern}が{actual}と一致しない場合、v:errorsにエラーメッセー
ジが追加される。assert-return も参照。
=~と同じように{pattern}が使われる: マッチングは 'magic' や
'cpoptions' の実際の値に関係なく、'magic' が設定され、
'cpoptions' が空であるように常に行われる。
{actual}は文字列として使用され、自動変換が適用される。テキスト
の先頭と最後に一致させるためには、"^" と "$" を使用すること。
両方を使用してテキスト全体を一致させる。{訳注: 使わなければ、
部分一致で判定が行われる。}
{msg}を省略すると、"Pattern {pattern} does not match {actual}"
という形式のエラーが生成される。例:
assert_match('^f.*o$', 'foobar')
これは v:errors に文字列が追加されることになる:test.vim line 12: Pattern '^f.*o$' does not match 'foobar'
method としても使用できる:
getFile()->assert_match('foo.*')
assert_nobeep({cmd}) assert_nobeep()
{cmd} を実行し、それがビープもしくはビジュアルベルを発生させた
場合、v:errors にエラーメッセージを追加する。
assert_beeps() も参照。
method としても使用できる:
GetCmd()->assert_nobeep()
assert_notequal()
assert_notequal({expected}, {actual} [, {msg}])
assert_equal() の反対: {expected}と{actual}が等しいときにエ
ラーメッセージを v:errors に追加する。assert-return も参
照。
method としても使用できる:
mylist->assert_notequal([1, 2, 3])
assert_notmatch()
assert_notmatch({pattern}, {actual} [, {msg}])
assert_match() の反対: {pattern}が{actual}にマッチするときに
v:errors にエラーメッセージを追加する。
assert-return も参照。
method としても使用できる:
getFile()->assert_notmatch('bar.*')
assert_report({msg}) assert_report()
テストの失敗を文字列 {msg} を使って直接報告する。
常に 1 を返す。
method としても使用できる:
GetMessage()->assert_report()
assert_true({actual} [, {msg}]) assert_true()
assert_equal()と同様に、{actual}がtrueでない場合、v:errors
にエラーメッセージを追加する。
assert-return も参照。
非ゼロである時、その値はTRUEである。{actual}が数値でない場合、
テストが失敗する。
{msg}が省略された場合、"Expected True but got {actual}" とい
う形式のメッセージが生成される。
method としても使用できる:
GetResult()->assert_true()
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