MySQL 8.0 リファレンスマニュアル


MySQL 8.0 リファレンスマニュアル  /  ...  /  myisampack — 圧縮された読み取り専用の MyISAM テーブルの生成

4.6.6 myisampack — 圧縮された読み取り専用の MyISAM テーブルの生成

myisampack ユーティリティーは MyISAM テーブルを圧縮します。myisampack は、テーブルの各カラムを独立して圧縮することによって機能します。 通常、myisampack はデータファイルを 40% から 70% パックします。

テーブルがあとで使用される場合、カラムの解凍に必要な情報をサーバーがメモリー内に読み取ります。 これにより、個々の行をアクセスする際のパフォーマンスが大幅に向上します。これは、圧縮解除しなければならないのは 1 つの行のみであるためです。

MySQL は、圧縮されたテーブルでメモリーのマッピングを行う場合に、可能であれば mmap() を使用します。 mmap() が機能しない場合、MySQL は普通のファイル読み取り/書き込み操作に戻ります。

次の点に注意してください。

  • mysqld サーバーが外部ロックが無効化された状態で起動された場合、パック処理の最中にサーバーによってテーブルが更新される可能性がある場合は、myisampack の起動は推奨されません。 サーバーが停止している状態でテーブルを圧縮するのがもっとも安全です。

  • テーブルは、パック後に読み取り専用になります。 通常これは意図されたものです (CD 内のパックされたテーブルにアクセスする場合など)。

  • myisampack はパーティション化されたテーブルをサポートしません。

myisampack は次のように起動します。

shell> myisampack [options] file_name ...

各ファイル名引数はインデックス (.MYI) ファイルの名前にしてください。 データベースディレクトリ内にいない場合、ファイルへのパスを指定するようにしてください。 .MYI 拡張子は省略可能です。

myisampack でテーブルを圧縮した後、myisamchk -rq を使用してインデックスを再構築します。セクション4.6.4「myisamchk — MyISAM テーブルメンテナンスユーティリティー」

myisampack は次のオプションをサポートします。 また、オプションファイルを読み取り、セクション4.2.2.3「オプションファイルの処理に影響するコマンド行オプション」に説明されている、それらを処理するためのオプションもサポートします。

  • --help, -?

    ヘルプメッセージを表示して終了します。

  • --backup, -b

    tbl_name.OLD という名前を使用して、各テーブルのデータファイルのバックアップを作成します。

  • --character-sets-dir=dir_name

    文字セットがインストールされているディレクトリ。 セクション10.15「文字セットの構成」を参照してください。

  • --debug[=debug_options], -# [debug_options]

    デバッグのログを書き込みます。 一般的な debug_options 文字列は d:t:o,file_name です。 デフォルトは d:t:o です。

    このオプションは、MySQL が WITH_DEBUG を使用して構築された場合にのみ使用できます。 Oracle によって提供される MySQL リリースバイナリは、このオプションを使用して構築されません。

  • --force, -f

    パックされたテーブルが元のテーブルより大きくなる場合や、以前に myisampack を呼び出した際の中間ファイルが存在する場合でも、パックされたテーブルを生成します (myisampack はテーブルの圧縮中に、 tbl_name.TMD という名前の中間ファイルをデータベースディレクトリに作成します。 myisampack を強制終了した場合、.TMD ファイルは削除されないことがあります。) 通常、myisampacktbl_name.TMD が存在することを検出すると、エラーで終了します。 --force を使用すると、myisampack は必ずテーブルをパックします。

  • --join=big_tbl_name, -j big_tbl_name

    コマンド行で指名されたすべてのテーブルを、単一のパックされたテーブル big_tbl_name に結合します。 結合されるすべてのテーブルは、必ずまったく同一の構造でなければなりません (同一カラム名、型、同一インデックスなど)。

    結合操作の前に、big_tbl_name が存在していなければなりません。 コマンド行で指名され big_tbl_name にマージされるすべてのソーステーブルが存在していなければなりません。 ソースのテーブルは結合のために読み取られますが、変更はされません。

  • --silent, -s

    サイレントモード。 エラーが発生したときのみ出力を書き出します。

  • --test, -t

    実際にテーブルをパックせず、パックのテストのみを実行します。

  • --tmpdir=dir_name, -T dir_name

    指名されたディレクトリを、myisampack が一時ファイルを作成する場所として使用します。

  • --verbose, -v

    冗長モード。 パック操作の進行状況とその結果に関する情報を書き込みます。

  • --version, -V

    バージョン情報を表示して終了します。

  • --wait, -w

    テーブルが使用中の場合、待機してから再度試みます。 mysqld サーバーが外部ロックが無効化された状態で起動された場合、パック処理の最中にサーバーによってテーブルが更新される可能性がある場合は、myisampack の起動は推奨されません。

次のコマンドシーケンスは典型的なテーブル圧縮セッションを表しています。

shell> ls -l station.*
-rw-rw-r--   1 jones    my         994128 Apr 17 19:00 station.MYD
-rw-rw-r--   1 jones    my          53248 Apr 17 19:00 station.MYI

shell> myisamchk -dvv station

MyISAM file:     station
Isam-version:  2
Creation time: 1996-03-13 10:08:58
Recover time:  1997-02-02  3:06:43
Data records:              1192  Deleted blocks:              0
Datafile parts:            1192  Deleted data:                0
Datafile pointer (bytes):     2  Keyfile pointer (bytes):     2
Max datafile length:   54657023  Max keyfile length:   33554431
Recordlength:               834
Record format: Fixed length

table description:
Key Start Len Index   Type                 Root  Blocksize    Rec/key
1   2     4   unique  unsigned long        1024       1024          1
2   32    30  multip. text                10240       1024          1

Field Start Length Type
1     1     1
2     2     4
3     6     4
4     10    1
5     11    20
6     31    1
7     32    30
8     62    35
9     97    35
10    132   35
11    167   4
12    171   16
13    187   35
14    222   4
15    226   16
16    242   20
17    262   20
18    282   20
19    302   30
20    332   4
21    336   4
22    340   1
23    341   8
24    349   8
25    357   8
26    365   2
27    367   2
28    369   4
29    373   4
30    377   1
31    378   2
32    380   8
33    388   4
34    392   4
35    396   4
36    400   4
37    404   1
38    405   4
39    409   4
40    413   4
41    417   4
42    421   4
43    425   4
44    429   20
45    449   30
46    479   1
47    480   1
48    481   79
49    560   79
50    639   79
51    718   79
52    797   8
53    805   1
54    806   1
55    807   20
56    827   4
57    831   4

shell> myisampack station.MYI
Compressing station.MYI: (1192 records)
- Calculating statistics

normal:     20  empty-space:   16  empty-zero:     12  empty-fill:  11
pre-space:   0  end-space:     12  table-lookups:   5  zero:         7
Original trees:  57  After join: 17
- Compressing file
87.14%
Remember to run myisamchk -rq on compressed tables

shell> myisamchk -rq station
- check record delete-chain
- recovering (with sort) MyISAM-table 'station'
Data records: 1192
- Fixing index 1
- Fixing index 2

shell> mysqladmin -uroot flush-tables

shell> ls -l station.*
-rw-rw-r--   1 jones    my         127874 Apr 17 19:00 station.MYD
-rw-rw-r--   1 jones    my          55296 Apr 17 19:04 station.MYI

shell> myisamchk -dvv station

MyISAM file:     station
Isam-version:  2
Creation time: 1996-03-13 10:08:58
Recover time:  1997-04-17 19:04:26
Data records:               1192  Deleted blocks:              0
Datafile parts:             1192  Deleted data:                0
Datafile pointer (bytes):      3  Keyfile pointer (bytes):     1
Max datafile length:    16777215  Max keyfile length:     131071
Recordlength:                834
Record format: Compressed

table description:
Key Start Len Index   Type                 Root  Blocksize    Rec/key
1   2     4   unique  unsigned long       10240       1024          1
2   32    30  multip. text                54272       1024          1

Field Start Length Type                         Huff tree  Bits
1     1     1      constant                             1     0
2     2     4      zerofill(1)                          2     9
3     6     4      no zeros, zerofill(1)                2     9
4     10    1                                           3     9
5     11    20     table-lookup                         4     0
6     31    1                                           3     9
7     32    30     no endspace, not_always              5     9
8     62    35     no endspace, not_always, no empty    6     9
9     97    35     no empty                             7     9
10    132   35     no endspace, not_always, no empty    6     9
11    167   4      zerofill(1)                          2     9
12    171   16     no endspace, not_always, no empty    5     9
13    187   35     no endspace, not_always, no empty    6     9
14    222   4      zerofill(1)                          2     9
15    226   16     no endspace, not_always, no empty    5     9
16    242   20     no endspace, not_always              8     9
17    262   20     no endspace, no empty                8     9
18    282   20     no endspace, no empty                5     9
19    302   30     no endspace, no empty                6     9
20    332   4      always zero                          2     9
21    336   4      always zero                          2     9
22    340   1                                           3     9
23    341   8      table-lookup                         9     0
24    349   8      table-lookup                        10     0
25    357   8      always zero                          2     9
26    365   2                                           2     9
27    367   2      no zeros, zerofill(1)                2     9
28    369   4      no zeros, zerofill(1)                2     9
29    373   4      table-lookup                        11     0
30    377   1                                           3     9
31    378   2      no zeros, zerofill(1)                2     9
32    380   8      no zeros                             2     9
33    388   4      always zero                          2     9
34    392   4      table-lookup                        12     0
35    396   4      no zeros, zerofill(1)               13     9
36    400   4      no zeros, zerofill(1)                2     9
37    404   1                                           2     9
38    405   4      no zeros                             2     9
39    409   4      always zero                          2     9
40    413   4      no zeros                             2     9
41    417   4      always zero                          2     9
42    421   4      no zeros                             2     9
43    425   4      always zero                          2     9
44    429   20     no empty                             3     9
45    449   30     no empty                             3     9
46    479   1                                          14     4
47    480   1                                          14     4
48    481   79     no endspace, no empty               15     9
49    560   79     no empty                             2     9
50    639   79     no empty                             2     9
51    718   79     no endspace                         16     9
52    797   8      no empty                             2     9
53    805   1                                          17     1
54    806   1                                           3     9
55    807   20     no empty                             3     9
56    827   4      no zeros, zerofill(2)                2     9
57    831   4      no zeros, zerofill(1)                2     9

myisampack は次の種類の情報を表示します。

  • normal

    追加のパックが使用されていないカラムの数。

  • empty-space

    スペースのみの値を含むカラムの数。 これらは 1 ビットを占めます。

  • empty-zero

    バイナリのゼロのみの値を含むカラムの数。 これらは 1 ビットを占めます。

  • empty-fill

    それぞれの型のバイト範囲をすべて占領しない整数カラムの数。 これらはより小さい型に変更されます。 たとえば、BIGINT カラム (8 バイト) のすべての値が -128 から 127 の範囲内にある場合は、このカラムを TINYINT カラム (1 バイト) として格納できます。

  • pre-space

    先頭にスペースが付いて保存されている 10 進数カラムの数。 この場合、各値は先頭のスペースの数のカウントを含んでいます。

  • end-space

    後続のスペースを多く含むカラムの数。 この場合、各値は後続のスペースの数のカウントを含んでいます。

  • table-lookup

    カラムには少数の異なる値のみがあり、ハフマン圧縮の前に ENUM に変換されました。

  • zero

    すべての値がゼロのカラムの数。

  • Original trees

    もともとのハフマンツリーの数です。

  • After join

    ヘッダースペースを節約するため、ツリーの結合のあとに残った異なるハフマンツリーの数。

テーブルの圧縮後、myisamchk -dvv が表示する Field 行には、各カラムに関する追加情報が含まれます。

  • Type

    データ型。 この値は次のいずれかのディスクリプタを含むことがあります。

    • constant

      すべての行は同じ値を持っています。

    • no endspace

      エンドスペースを保存しません。

    • no endspace, not_always

      エンドスペースを保存せず、またすべての値にエンドスペース圧縮を行いません。

    • no endspace, no empty

      エンドスペースを保存しません。 空の値を保存しません。

    • table-lookup

      カラムは ENUM に変換されました。

    • zerofill(N)

      値の中の最上位の N バイトは常に 0 であり、保存されません。

    • no zeros

      ゼロを保存しません。

    • always zero

      ゼロ値は 1 ビットを使用して保存されます。

  • Huff tree

    カラムに関連しているハフマンツリーの数。

  • Bits

    ハフマンツリーで使用されているビット数。

myisampack を実行した後、myisamchk を使用してインデックスを再作成します。 このとき、MySQL オプティマイザの動作効率化を図るために、インデックスブロックのソートと統計の作成を行うことができます。

shell> myisamchk -rq --sort-index --analyze tbl_name.MYI

パックされたテーブルを MySQL データベースディレクトリにインストールしたあと、mysqld が新しいテーブルを使用することを強制するため、mysqladmin flush-tables を実行するようにしてください。

パックされたテーブルをアンパックするには、myisamchk に対して --unpack オプションを使用してください。


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